6月になって梅雨が心配な今日この頃
今日は労働契約法第20条をめぐっての
初の最高裁判決が2件示された
労働契約法第20条自体は
雇用期間の無期、有期で不合理な差別を禁止した条文
ただし、行政指導の対象とならない民事で
現在国会審議中の働き方改革関連法案の中で
現行のパートタイム労働法に吸収され行政指導の対象と
できる提案がなされている条文
過去に触れた記事↓
そんな条文をめぐって
1件は通常の無期契約と有期契約労働者間の支給される手当の差
もう1件は通常の無期契約と定年後再雇用された
有期契約労働者間の支給される手当の差の決着が今日ついた
通常の無期と有期間の格差は予想通り
住宅手当以外の格差は不合理と認定
住宅手当に対する判断は日本郵政みたいな動きが
今後でてくる可能性が高まったが
とっても意外だったのは
定年後の再雇用による有期契約労働者との格差
最初ニュースをちらっと見た時に結果的に
定年後の再雇用による有期契約労働者は
仕事内容が同一でも格差は問題なし、なぜなら年金があるからと
聞こえて、どんな理屈かと思ったが
裁判所HP↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1
さっき裁判所の判例検索でみたら
さっそく判決文がアップされているので読んでみたが・・・
本当だ、老齢基礎年金の支給としかも裁判官全員一致
まだじっくり読み砕いていない中での
ファーストインプレッションでは
最高裁も職務の同一というのは認定しているが
問題は労働契約法第20条内のその他の事情から
「有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が不合理と認
められるものであるか否かを判断する際に考慮されることとなる事情は,労働者の
職務内容及び変更範囲並びにこれらに関連する事情に限定されるものではない」(判決文P9)
と、純粋な職務内容だけを考慮するのではないと示し
「一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けることも予定されている。そして,このよう
な事情は,定年退職後に再雇用される有期契約労働者の賃金体系の在り方を検討す
るに当たって,その基礎になるものであるということができる。」(判決文P10)
と老齢基礎年金を受給していることを考慮して
不合理でないといくつかの手当について判断した模様
なるほどね~でもやっぱり腑に落ちないのが
年金受給受けてるから同一の職務内容でも賃金引き下げていいてのは
じゃあ、資産がある労働者や、副業・兼業やって
別に収入がある有期契約労働者は無期と同一職務でも
格差を設けてもいいのかて解釈OKなのかと疑問
労働に対する賃金に、雇用関係下の労働以外の報酬を考慮させるて
なんか疑問だけど、最高裁判決が示された以上
いろいろ解釈や解説もでてくるだろうから
でてきてからまた勉強しよう
労働ていつも判例によって進歩していく
なお、今回の事案となった運輸会社は
判決文を読むと会社側もそれなりに
固定給の基本給等と労務の成果に関する
歩合給の係数も正社員時代より優遇していて
再雇用で賃金を全て引き下げたわけではなさそうな
今回の判例で定年後の再雇用なら何でも
下げていいやと解釈する事業主がでないのを切に願う
もっとも、判決文で
「有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の
相違が不合理と認められるものであるか否かを判断するに当たっては,両者の
賃金の総額を比較することのみによるのではなく,当該賃金項目の趣旨を個別に考
慮すべきものと解するのが相当である。」
各個別の賃金手当について考えるようにと示されたが
個別について考えるとなると
賃金規定や給与体系を見直す必要もでてきて
事業主は大変だろうな~
さてさて、明日はNHKスペシャル
「ミッシングワーカー 働くことをあきらめて・・・」
NHK名古屋放送局より
ぜひ見てくださいとポストカードをもらったが
政府統計に反映されない求職者でも失業者でもない存在のルポ
本当にこの国の労働問題てなんだかなーて
思う人間としてはしっかり見ようかと思う